2024.11.19
全国で活躍する医学部卒業生に在学中の思い出や母校・医学部への思いなどを語っていただく「卒業生リレーエッセイ」。第2回は、医学科6期生の伊勢原駅前クリニックの堀江修院長にメッセージをお寄せいただきました。
もともとは大学で有機化学の勉強をしたのち、企業の研究職として働いていたのですが、堀江外科を営んでおられた政伸先生から、跡継ぎにと白羽の矢を立てられたのがきっかけで東海大学医学部を受験しました。
印象深かったのは、金田良雄先生の「寄生虫学」の授業です。授業自体が臨床に即した内容で「医学生として本望だ」と思ったものです。学部卒業後は、第2外科に入ったのですが、そこで三富利夫先生にみっちり鍛えられました。「外科医である前に紳士であれ」という先生の方針のもと、数多くの症例に触れられたことは本当に貴重な経験でした。付属病院に来られる患者さんは重症度が高い方が多いことから、合併症を起される場合も多く、その処置の方法などを身をもって学べたことが今に生きています。
患者さんの病気を治すことを第一に考える「医の心」を持った医師ではないでしょうか。私の専門は外科ですが、私どものクリニックには外科以外の病気で受診される方もたくさんおられます。また、治療に対する考え方は変化しており、手法や技術も日々進歩していっています。その中で常に、「医の心」を中心に置いて、自分の専門領域のとらわれることなく、広い視野で患者さんにとっての最善の治療法を模索できるのが良医だと思います。
医療技術は日進月歩で進化しており、医療を取り巻く状況も常に変わっています。医療が細分化・高度化する中でも、医学部の先生方や学生さんには「医の心」を持った良医であろうとする姿勢を常に忘れないでほしいと思っています。また地域の医療機関が患者さんを紹介しやすく気軽に相談できる病院であってほしいですね。地域全体で多くの人々の健康を守る。その要の役割を果たしていただきたいと思います。
本院はもともと外科を中心とするクリニックだったのですが、現在では外来診療とあわせて、訪問診療にも力を入れています。現在は急性期を過ぎると自宅で療養される方が増えていますので、そうした方々や長く本院に通ってくださっている患者さんのニーズにこたえるため、24時間365日対応の訪問診療を厚木市や平塚市、秦野市にもクリニックを設けて対応しています。訪問診療では、医師と看護師が一緒に患者さんのお宅に伺うことで、一人ひとりのニーズを踏まえた療養生活をサポートできる体制を整えているのも特徴です。この特徴を生かしながら、これからも「地域をベッドに」をモットーに地域医療の一翼をしっかり担っていきたいと考えています。