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東海大学医学部50周年記念事業 Tokai University School of Medicine 50th Anniversary
東海大学医学部・医学部付属病院は、創設50周年を迎えます。
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2025.08.15

【卒業生メッセージ 6】医学部同窓会星医会・宮良球一郎先生

全国で活躍する医学部卒業生に在学中の思い出や母校・医学部への思いなどを語っていただく「卒業生リレーエッセイ」。第6回は、医学科8期生で月桃会 宮良クリニック理事長(沖縄県浦添市)の宮良球一郎先生にメッセージをお寄せいただきました。

 

―医師を目指されたきっかけを教えてください

中学生1年生の時に体育で痛めた腰痛(椎間板ヘルニア)に苦しんだのが、きっかけだと思います。当時石垣島には整形外科はなく、島のあらゆる民間療法を受けたり、夏休みを利用して沖縄本島で治療を受けたりしていました。が、治ることがなかったため高校3年生の時に一念発起し、「自分で直してやろう」と思い、医師を目指すことにしました。

 当時の我が高校のレベルと文系学部進学予定からの変更から東京で浪人生活を送りことになり、いろんな縁で東海大学に入学できました。入学成績上位5名までは授業料が減免される制度があり、親の負担を軽減できたのは助かりました。

 

―大学で得たもの、学んだことは?

当時、入学直後に先生が学生グループに配置されて指導をする「懇話会」という制度があったのです。私は寄生虫学が専門だった金田良雅先生のグループに配属され、そこで中川儀英(東海大学医学部付属八王子病院救命救急学)や飛田浩輔(諏訪中央病院)、小林中(慈愛病院副院長)と出会ったのがとても大きかったです。また基礎の教授たちが懇親の場を設けてくれ、朝の授業開始前に各分野の先生方のお話を聞く勉強会を企画したり、専門書の輪読会を開いたり、テニスなどのスポーツなども一緒にやりました。また、5年次から病理学の渡辺慶一先生のサポートを受け、病理学教室でさまざまな分野の病理について学ぶことができたのは大きな財産となりました。
 臨床の面では、2年次の臨床実習で腎臓内科の富野康日己先生から1週間みっちり問診の取り方を指導していただいたことが実臨床で大いに役立ちました。富野先生にはでとても鍛えられました。1週間毎日、同じ患者さんのお話を聞いた内容をまとめて、それを先生にチェックしてもらうのですが、その過程を通じて診察の基本がしっかり身についたのです。この時に、医師としてのあり方や考え方の基礎も学べたと感じています。
 

―先生が考える「良医」像はどのようなものですか?

常に意識しているのは「礼節を忘れるな」という言葉です。『平家物語』にも「驕れる者も久しからず」と言う言葉がありますが、医師も同じでたゆまずスキルアップをし、決して奢ることなく、同じ目線で患者さんに寄り添っていくことを意識して診療に臨み決して奢らないことです。若い先生方にはいつも、挨拶をすることと、患者さんのことを第一に考えて行動するようにということを何度も伝えてきました。
 私の祖父母が住む沖縄の小浜島で小さい頃住んでいたのですが、そこで私が高熱を出したことがあったのです。診療所の無い小浜島から石垣島にわたり治療を受け、一命をとりとめたのですが、それ以来祖母は私の命を救った医者のことを「神様だ」と言っていました。医師となった今、祖母の言葉を胸に、どんな時も持てる力を尽くして患者さんと向き合うことが重要だと思っています。

 

―今後の50年に向け、若い世代へのメッセージをお願いします

後輩たちにやはり「礼節を忘れるな」と言う言葉を送りたいと思います。在学中は、「東海大学の学生」ですが、医師になってしまえば一人の人間としての価値が問われます。真摯に医療に取り組む姿勢が、「東海大学医学部」の価値を高めてくれます。自分の大学に誇りを持って前進して下さい。

 

―宮良クリニックと乳腺・甲状腺クリニック うらそえ(BTU)についてご紹介ください

開院20年を迎えた宮良クリニックは婦人科医(妻)を院長にむかえ、従来の乳癌検診や甲状腺診療を加えたレディースクリニックとして再出発し、新たにオープンした乳腺・甲状腺クリニック うらそえ(BTU)は手術室を備えた有床クリニックで、2施設で診断から治療まで完結できるシステムづくりをしています。さらに事務職員を加えたメディカル・スタッフが「ピンクリボンアドバイザー」の資格を得て、専門的な知識に基づいて患者さんにアドバイスできるのも特長です。
 また、乳がん患者さんは、生活習慣病を含め他の疾患に悩むことも多く、所属しているの浦添市内の専門クリニックや市内の病院と密な連携をとり、「皆であなたを見守っていますよ」という安心感を患者さんに与える地域完結型チームワーク医療体制の構築も行政とも連携しながら進めています。